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船釣り初心者講座-4

公開日:2024/01/27

【初めての船釣り】船上でのルールとマナーを初心者向けに徹底解説

無事に船宿の予約が取れたあとに、「船上でのルールやマナーをきちんと守れるか不安…」と感じる方も少なくありません。 釣りの世界には、特殊なルールや暗黙のルールも多いもの。 知らないうちにマナー違反して、周囲から白い目で見られるのは避けたいところです。

初めての船釣りで注意したいルール・マナーは多々ありますが、特に注意したいのが「船上での行動」です。 初心者が押さえておきたい船上でのルールやマナーを10個紹介するので、ぜひひとつひとつ丁寧にチェックしてみてください。 船釣りの不安を解消しましょう。

釣り物や仕掛けは指定のもの以外使わない

初めての船釣りで、特に注意したいのが、釣り物や仕掛けの種類についてです。 船釣りでは、予約時に船長から、PEラインや重り、仕掛けについて一定の基準を指定されるケースが少なくありません。 この場合、指定のもの以外は絶対に使わないようにしましょう。

船釣り初心者の場合、事前に船長から「針は◯本まで、PEは△号、重りは×でお願いします」と指定されても、そこにどんな意味があるのか理解できないケースも多いのではないでしょうか。 特に乗合船の船釣りで釣り物や仕掛けが指定される理由は、単純に「魚を釣りやすくするため」というわけではありません。 1隻の船に多くの人が乗り合って一緒に釣りを楽しむ中で、オマツリ(互いの釣り糸がこんがらがってしまう現象)を防ぐための工夫でもあります。

PEラインや重りが統一されていないと、潮の流れによる糸の動きが一人だけ異なってしまいます。 船長がどれだけ丁寧に船を操作したとしても、糸の流れをコントロールできなくなり、隣の仕掛けと絡まってしまう恐れがあるでしょう。 またもちろん、指示された内容を守らなければ、自分一人だけタナが変わり「まったく釣れない!」といった事態に陥る可能性もあります。

船上でのオマツリは双方の責任と捉えるのが一般的ですが、指定を守らずオマツリを繰り返した場合、要注意人物と認定されてしまうでしょう。 最悪の場合、次回予約時から乗船拒否される恐れもあります。 釣り物や仕掛けが指定されている理由を理解した上で、ルールやマナーを守るようにしてください。 また、「重りを上げてブランブランさせない」など、基本を守ることも大切です。

タナの取り方や巻き上げ指示には従おう

船釣りの最中には、船長からさまざまな指示がアナウンスされます。 アナウンスの内容にはしっかりと耳を傾け、指示には素早く確実に従うようにしましょう。

特に注意したいポイントは、タナの取り方です。 船が釣りスポットに到着すると、「○~○メートルの間を誘ってください」などと指示が入るでしょう。 この指示を確実に守ることも、重要なマナーです。

もしも指定されたタナで魚が釣れなかったら、さらに下げたくなる人も多いのではないでしょうか。 しかし一緒に釣りをしている人のうち、一人でも勝手にタナを下げるようなことがあれば、それよりも上のタナに魚が寄り付かなくなってしまう恐れがあります。 自分は楽しく釣りができたとしても、他の人にとってはいい迷惑ですから、自分勝手な振る舞いは謹んでください。

このほかにも、「勝手に釣り方を変える」といった行動も厳禁です。 一人で勝手な行動をすると、周囲の人に迷惑がかかります。 オマツリや本命の魚を散らしてしまうなど、トラブルを誘発してしまうでしょう。 事前のルールに沿って、マナーを守った釣りを意識してください。

また船長から仕掛けを巻き上げるようアナウンスされたら、できるだけ早急に作業をスタートします。 仕掛けを巻き上げる理由は、ポイントを移動するためです。 一人だけのんびりしていると、なかなか船を移動させられない可能性も。 他のお客さんの釣り時間を奪ってしまいますから、アナウンス内容にはしっかりと耳を傾けておきましょう。 わからないことがあれば、船長や周りの人に聞けば大丈夫です。

オマツリしたら挨拶は欠かさない

乗合船で避けられないトラブルと言えば、オマツリでしょう。 自分の仕掛けと他人の仕掛けが絡まった状態を指し、いったんオマツリが発生すれば、問題を解決するまで釣りはできません。 経験豊富な人であっても完全に避けるのが難しいトラブルですが、できるだけオマツリしないように注意するのが、最低限のマナーです。 釣りをするときは、左右の人と均等な距離を保ち、自分の正面だけでするよう意識してください。

実際にオマツリが起きてしまったときには、お互いに「ごめんなさい」と声を掛け合うのがマナーです。 一緒に釣りを楽しむ仲間同士で、「自分は悪くないから」とかたくなな態度を取るのはおすすめできません。 「どちらか一方に責任があるわけではない」という基本的な考えのもと、できるだけ速やかに問題を解決できるよう努めてください。

オマツリが発生してしまった場合の対処法は以下のとおりです。

1.相手の人に声をかける
2.先に上がっている人が、仕掛けを巻き上げる
3.もう一方の人がラインを出す
4.仕掛けを巻き上げた人が、絡まっている部分をほどく
5.ほどけたら、速やかに回収する

処理の仕方がわからない場合は、ぜひ船長や周囲のスタッフの手を借りてみてください。 いつまでも一人でモタモタしていると、どんどん釣りの時間が少なくなってしまいます。 またどうしてもほどけない場合には、やむを得ずハリスやPEラインを切ることもあるでしょう。 この場合でも、勝手に相手のラインを切るのは禁物です。 必ず一声かけてから、相手の同意を得て実行に移しましょう。

釣り座の確保は基本的に早い者勝ち

乗合船に乗船すると、それぞれが各自の座席を確保します。 この船上の座席のことを「釣り座」と言います。 誰がどの釣り座につくのか、決める方法は船によってさまざまです。 先着順のところもあれば、抽選ですべての釣り座を決定するケースもあるでしょう。 船長権限で、誰がどこにつくのか、決定される船もあります。

とはいえ、基本的には先着順か抽選で決定されるケースが多いようです。 抽選の場合は、一人一人クジを引いて釣り座を決めます。 先着順の場合、より有利な釣り座を求めて、前日の夜からスタンバイする人も少なくありません。 初心者の場合、先着順で良い釣り座を確保するのは難しいでしょう。 またできるだけサポートを受けられるよう、船長の近くの釣り座を確保するのがおすすめです。

ちなみに釣り座には、場所によってそれぞれ独特な呼び名があります。 船頭に近い方を「ミヨシ」、船の後方部分は「トモ」と呼ばれます。 船頭の方を向いて左側が左舷、右側が右舷です。 釣り座で有利と言われているのは、船の四隅でしょう。 釣り座ひとつで釣果が変わってくる可能性もありますが、初心者のうちはそれほど気にしなくても大丈夫です。

また、釣り座が空いているからといって、勝手な移動はしないようにしましょう。 船長の中には、釣り座別にお客さんの情報を把握している人も少なくありません。 釣り座がバラバラになれば、顧客情報を把握し、安全管理に努めることが難しくなってしまう可能性も。 また釣れていない人のために流し方を変えようとしても、不可能になってしまう恐れもあるでしょう。 一度決めた釣り場が、その日の自分の場所と心得て行動してください。

安全のためのルールを守ろう

釣り船で海へ出る際には、安全のための各種ルールを守ることが大切です。 以下の5つのポイントについては、特に意識してみてください。

・ライフジャケット着用の義務化
・移動中の立ち歩き禁止
・船の設備に勝手に触れない
・船べりにものを置かない
・船べりに腰かけない

ライフジャケットの着用は、現在義務化しています。 「暑いから」「海に落ちないから」「格好悪いから」といった理由で、勝手に脱ぐことがないよう注意してください。 また船の移動中に立ち歩くのは危険です。 ふとした瞬間に船が大きく揺れれば、その勢いのまま海に放り出されてしまう恐れもあるでしょう。 トイレは乗船前に済ませておき、キャビン内への移動も船が動いていないタイミングを狙ってください。

船の設備に勝手に触れないのは基本ですが、船べりの使い方にも注意が必要です。 釣りに夢中になると、ついアイテムを置いてしまいがち。 プライヤーなどは、海に落としやすいので注意してください。 もちろん、海に落下するのが「もの」だけとは限りません。 船べりに腰かけていると、万が一ということも考えられますから、絶対にやめてくださいね。

青物や大物がかかったときのマナーを守ろう

釣り船で釣りを楽しんでいると、周囲の人に青物や大物がかかることもあるでしょう。 こんなときには、周囲の人はいったん自分の仕掛けをいったん回収するのがマナーです。 「自分がヒットしているわけでもないのに、いったいなぜ…」と思ってしまいがちですが、これは後々のトラブルを避けるためのマナー。 サイズが大きい魚や、サバやブリ、カツオにマグロといった青物がかかったときには、魚は周囲を勢いよく動き回ります。 周りの人の仕掛けをそのままにしていると、オマツリしてしまう可能性が高いでしょう。 「自分も大物を!」と粘りたい気持ちもわかりますが、結果として自分の仕掛けを駄目にしてしまう恐れがあります。

他の人にこうした獲物がかかった場合、船長から全体に向けて、仕掛けを上げるよう指示が出るケースが一般的です。 指示を聞き逃さないよう注意しましょう。 また自分にこうした獲物がかかったときには、すぐに周囲に伝えてください。 船長やスタッフが、しっかりサポートしてくれるはずです。

血抜きに関するマナーを守ろう

釣った魚の種類によっては、美味しく持ち帰るために、船上で「血抜き」と呼ばれる作業を行うケースがあります。 血抜きに関するマナーにも、十分に注意しましょう。

血抜きをするためには、刃物を使います。 船体を傷つけないよう十分に注意してください。 船べりをまな板代わりに作業すると、船体の塗装が傷ついてしまいます。 慣れないうちは、調理ばさみや釣り用ばさみを使って作業すると良いでしょう。 また船体に魚の血液が付着してしまった場合、その場ですぐにしっかりと洗い流しておきましょう。 時間が経つと、汚れが落ちにくくなってしまいます。

また釣り場によっては、魚の血液が原因でサメが寄ってきてしまう可能性も。 血抜きをしない方が良いエリアもありますから、船長の指示に従いましょう。 ポイントからポイントへの移動中に行うと安心です。

お酒やたばこは周囲の人に配慮してほどほどに

船上でお酒やたばこをたしなむ方も少なくありません。 船のルールで禁止されていない場合、周囲の人に配慮しつつ、ほどほどに楽しみましょう。 特にタバコは、煙の流れで周囲に嫌な思いをさせてしまう可能性も。

・風下で吸う
・火をつける前にひと言かける

このような気遣いで、お互いに気持ちよく過ごせるよう配慮してください。

釣り座を離れるときは仕掛けを回収しよう

長時間の釣りタイムには、トイレに行ったり釣り場を離れたりする機会もあるでしょう。 この際、置き竿で仕掛けをそのままにするのはやめましょう。 自分が目を離している間に、仕掛けが潮に流されてしまう恐れがあります。

また知らない間にオマツリしてしまったり、船長からの合図を聞き逃してしまったりする可能性も。 特に「仕掛けを上げてください」というアナウンスを聞き流して放置すれば、周囲の人に迷惑をかけてしまいます。 釣り座を離れる場合は、いったん仕掛けを回収するのがマナーです。

釣り座の周りはできる限りきれいにして沖上がりを!

そろそろ釣りの時間も終了というタイミングでは、自身の釣り座の周りをきれいにするよう意識してみてください。 ゴミは船宿のルールに従って処分しますが、海に捨てるのは禁物です。 できる限り、自分で持ち帰るようにしてください。

使わないアイテムを整理してまとめたら、周りに汚れている部分がないかチェックします。 ギリギリまで釣りを楽しみつつも、できる準備からスタートしていくのがおすすめです。 汚れを見つけたら、ざっと拭いておくだけでも印象は変わります。

船宿でゴミを回収してもらえる場合は、分別にも注意してください。 ペットボトルや缶、燃えるゴミなど、船長の指示に従うようにしましょう。

港についたら、船長やお世話になったスタッフ、そして同乗した方に心を込めて挨拶するのがおすすめです。 また同じ船に乗ることになった場合も、気持ちよく迎え入れてもらえるでしょう。

船上でのルールやマナーを理解して船釣りを楽しんでみて

今回は船上でのルールとマナーについて、詳しく解説しました。 「なんとなく大変そう…」と思う方もいるかもしれませんが、基本的には周囲への気遣いを忘れず、船長の指示に従っていれば大丈夫です。

ルールやマナーをしっかりと頭に入れておけば、初めての船釣りでも、トラブルになる可能性は低いはずです。 「ルールやマナーが覚えきれず不安…」という場合には、初心者へのサポートが充実している船宿を選択するのもおすすめですよ。

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