船釣り初心者講座-6
公開日:2024/03/22船釣りで覚えておきたい「仕掛け」とは?「胴付き」や「テンビン」など代表的な仕掛けを紹介
船釣りの魅力は、非常に幅広いターゲットが狙えることです。
ターゲットに合わせた仕掛けがどんどん開発されてきたため、その種類は非常に豊富。
船釣り初心者にとっては、「仕掛けについて学びたいけれど、何が何だかわからない…」と感じがちです。
仕掛けについて学ぶためには、実際に船釣りに行って現地で学ぶのが一番。
とはいえ、事前に基本的な知識を身につけておくだけでも、理解度はぐっと深まるでしょう。
ここでは、船釣りに欠かせない仕掛けの基礎知識と、代表的な仕掛けについて紹介します。
釣りにおける「仕掛け」とは?そもそも何?
船釣りの準備を進めていく上で、欠かせないのが「仕掛け」です。
とはいえ、船釣り初心者にとっては、「そもそも仕掛けが何かわからず困ってしまう…」というケースも少なくありません。
船釣りにおける「仕掛け」とは、海で魚を釣るための釣具の組み合わせを指します。
海で魚を釣るために必要な道具と言えば、針と糸、そしてエサを思い浮かべる方が多いでしょう。
とはいえ、ただ単純に「エサを垂らしておけば魚が食べてくれる」ほど、甘い世界ではありません。
海で暮らす魚たちは、それぞれで異なる特徴を持ち、「どうすればエサに食いつきやすくなるのか?」という点にも違いがあります。
そこで登場したのが、「釣りで使われる基本的なアイテムを組み合わせて作られる、各種仕掛け」というわけです。
魚に合った仕掛けを使えば、釣果は大きく変わってくるでしょう。
反対に、魚に合っていない仕掛けを使っても、効率良く魚を釣ることはできません。
だからこそ、船釣りをよりいっそう楽しむためには、仕掛けの種類とターゲットに合った仕掛けの選び方について学ぶ必要があるのです。
ちなみに船釣りをする際には、漁師さんの漁具から生まれた仕掛けが使われるケースも少なくありません。
また同じような仕掛けでも、地域独自の工夫が凝らされているものもあります。
こうした特殊な仕掛けについては、現地でひとつひとつ、経験しながら学んでいくのがおすすめです。
船釣りでは、予約段階で船長から使用する仕掛けを指定される事例もあります。
マナーを守って船釣りを楽しむためにも、まずは仕掛けに関する基本的な知識を身につけておきましょう。
胴付き仕掛けとは?
ここからは、船釣りで使われる仕掛けの中でも、代表的なタイプを紹介します。
胴付き仕掛けとは、船釣りを楽しむ際の基本的な仕掛けの一つです。
魚を釣るための仕掛けにはさまざまな種類があるものの、そのほとんどは、この胴付き仕掛けと次で紹介するテンビン仕掛けに大別されます。
胴付き仕掛けとは、重りを一番下に設置し、1本の幹糸を通す仕掛けです。
幹糸には道糸を接続し、さまざまな魚を狙えます。
・アジ
・青物
・マダイ
・深海釣り
以上のラインナップからもわかるとおり、小物から大物まで、幅広いターゲットに対応できる点が、胴付き仕掛けの最大の特徴と言えるでしょう。
海釣りでは、もっとも基本的な仕掛けですが、その分アレンジも豊富。
各部品のサイズも、ターゲットによって細かく調整します。
重りが一番下に設置されているため、海底付近に生息する魚を狙うのに効果的です。
仕掛けを船から真下に下ろし、魚が食いつくのを待つ釣りスタイルで、非常にシンプルな点が大きな特徴と言えるでしょう。
魚との駆け引きも、存分に楽しめますよ。
テンビン仕掛けとは?
テンビン仕掛けは、釣り用テンビンと呼ばれるアイテムを使った仕掛けを指します。
もともとは、仕掛けを海に投入する際に、糸が絡んでしまうのを防ぐためのアイテムです。
船釣り用のテンビンには、以下のような種類があります。
・ストレートタイプ
・弓形タイプ
ストレートタイプは比較的柔らかい素材が使われていて、弓形タイプは硬い素材が使われています。
ストレートタイプを使えば魚の食い込みが良くなりますし、弓形タイプを使えば魚をより確実に引っかけやすくなります。
テンビンの腕の長さは、ターゲットに合わせて選択しましょう。
ちなみに「コマセ釣り」とは、このテンビン仕掛けの一種です。
アジやマダイ、イサキといったターゲットを狙う際に、よく選ばれるコマセ釣り。
エサを入れるためのコマセカゴと、重りが一体になった「ビシ」を使って、ターゲットを狙うスタイルです。
コマセで魚をおびき寄せることで、一気に大漁を狙える可能性もあるでしょう。
コマセと付けエサをしっかり同調させて、寄ってきた魚を釣り上げてください。
サビキ仕掛けとは?
サビキ仕掛けは、胴付き仕掛けの一種です。
一番下に重りをつけた幹糸から、疑似餌がついたハリを多く仕掛けます。
ハリにはエサをつけませんが、マキエをして周囲に魚をおびき寄せるケースもあります。
本物のエサを食べに寄ってきた魚を、疑似餌で釣り上げるスタイルですね。
マキエをしない場合、底まで沈めたあとに、魚が食いつくのを待つのが基本です。
サビキ仕掛けで狙えるターゲットとしては、アジやサバ、メバルやマダイなどが挙げられるでしょう。
ハリにエサをつける必要がないため、手軽に楽しめるスタイルの釣りとして人気。
うまく群れに当てられれば、一気に多数の魚を釣り上げられるというメリットもあります。
ファミリー向けとしても人気の仕掛けです。
船テンビンフカセ仕掛けとは?
船テンビンフカセ仕掛けは、障害物の陰に潜むターゲットをマキエで外へとおびきだし、フカセで釣り上げるための仕掛けです。
仕組みは簡単で、重りのついたカゴに、コマセを詰めます。
コマセに釣られて竿下に寄ってきたターゲットを、テンビンを介したフカセ仕掛けにて釣り上げてください。
船テンビンフカセ仕掛けで狙えるターゲットは、多岐にわたります。
地域や季節を変えれば、さまざまな魚を釣り上げられるでしょう。
マダイや青物、イサキやアジなど、季節に応じた釣りの魅力を味わってみてください。
市販のテンビンフカセ仕掛けの多くは、2~3本針です。
ターゲットの種類や潮の速さに合わせて、
・全長
・針の号数
・ハリスの号数
といったポイントを調整しましょう。
また、水深によっても細かな調整が必須です。
船テンビンフカセ仕掛けで釣果を上げるためには、マキエと針の動きの同調させることが大切です。
リールには、カウンターが搭載されているタイプを選ぶと良いでしょう。
テンヤ仕掛けとは?
テンヤとは、重りとハリが一体化した仕掛けを指します。
テンヤ仕掛けを使って狙うターゲットと言えば、マダイやタチウオが人気です。
マダイ釣りでは、テンヤ仕掛けにマダイの好物であるエビを餌にしてアプローチします。
重りとハリが一体化しているため、ロッドを動かせばエサは大きく動きます。
テンヤを積極的に動かすゲーム性を楽しみつつ、実際のエサを使うことで、難易度を下げているのがテンヤマダイ仕掛けの特徴です。
タチウオテンヤでは、独特の形をしたテンヤ仕掛けにエサを蒔き付け、ターゲットを狙います。
テンビン釣りと比較して大物が釣れ易いので最近人気の釣り方になります。
乗合船でテンヤ仕掛けを楽しむ場合、オマツリを避けるため、重りの重さをあらかじめ統一しているケースがほとんどです。
マナーを守って楽しみましょう。
タイラバとは?
タイラバも、マダイを狙うための仕掛けの一つです。
東京・神奈川方面でタイラバ狙いの船は少ないのですが、千葉方面では特に人気の釣りスタイルです。
タイラバとは、マダイを釣るために特化した疑似餌のこと。
フックにヘッド、スカート、ネクタイといったパーツを組み合わせて、マダイの興味を引くように作られています。
特に複雑な仕組みはなく、シンプルなタックルで楽しめる点も魅力の一つ。
ほんの少しの仕掛けの違いや、巻き速度の差で釣果が変わりやすい点も、多くの釣り人を魅了するポイントだと言えるでしょう。
「疑似餌でマダイを釣り上げる」と聞くと、ハードルが高いように感じる方も多いのではないでしょうか。
しかし釣り方としては至ってシンプルで、「疑似餌を着底させたあとに巻くだけでOK」です。
仕掛けさえ準備しておけば、初心者でも挑戦しやすいマダイ釣りのスタイルなので、ぜひ挑戦してみてください。
メタルジグとは?
メタルジグとは、ルアーの一種であり、オフショアジギングで使われる仕掛けです。
陸から離れ、船上で楽しむルアーフィッシングのうち、ジグ(メタルジグ)の仕掛けを使ったものをオフショアジギングと言います。
メタルジグには、以下のようにさまざまな種類があります。
狙うターゲットによって、ぴったりなジグを選択する必要があるでしょう。
【セミロングジグ】
やや長いタイプのジグで、もっとも出番の多いタイプです。
初心者にもおすすめ。
青物が普段食べているエサに形状が似ているため、効率良く狙えるでしょう。
【ロングジグ】
セミロングよりも細長い形状をしているロングジグは、タチウオやサンマをイメージさせます。
青物の中でも、大型の魚を狙うのにおすすめです。
【ショートジグ】
こちらはセミロングジグよりも短いタイプ。
普段小物を補食しているターゲットに効果的で、最近人気のタイプです。
単一の魚種だけではなく、幅広いターゲットに対応できるので、船釣りの魅力を堪能できるでしょう。
メタルジグを使った釣りは、「自身のアクションやジグの形の変化による効果を実感しやすい」という特徴があります。
さまざまなアクションを組み合わせることで、ゲーム性の高い釣りを楽しめるスタイルと言えるでしょう。
仕掛けの自作は可能なのか?
さまざまな仕掛けの種類について学んでみると、気になるのが「そもそも仕掛けは自分で作ることも可能なのか?」という点です。
上で紹介した仕掛けは、あくまでも代表的なもの。
実際には、釣りたいターゲットに合わせて、非常に多くの仕掛けがあります。
「いちいち市販品を購入していては、金銭的な負担が重い…」と思う場面もあるでしょう。
結論からお伝えすると、船釣りで使う仕掛けの自作は可能です。
船釣りを日常的に楽しんでいる方の中には、市販品に自分なりのアレンジを加える人もいれば、一からすべて、オリジナルの仕掛けを自作する人もいます。
自分で仕掛けを作るメリットは、以下のとおりです。
・仕掛けづくりから自分の手で楽しめる
・釣果に合わせてアレンジ可能
・釣れたときの喜びがさらに大きくなる
・コストの負担を低減できる
自作の仕掛けで魚が釣れたときの喜びは、市販品で釣れたときよりも、さらに大きくなるでしょう。
また、釣れる・釣れないといった状況に合わせて、工夫を重ねていく楽しみもあります。
さらに現実的なメリットとしては、仕掛けにかかるコストを下げられる点が挙げられるでしょう。
船釣りに出かける際には、できるだけ多くの仕掛けを持って行くのがおすすめです。
船上でも仕掛けを販売してくれる船もありますが、できるだけ予備を用意しておくのが安心です。
隣の人とオマツリしたり、何らかのトラブルが起きたりして、仕掛けを失うケースは決して少なくないでしょう。
釣り方にもよりますが、根掛かりやオマツリが多い釣りなら最低5セット程度は持参したいところです。
市販の仕掛けが1つ1,000円程度だとしても、5つ用意すれば5,000円です。
仕掛けを自作すれば、かなりコストを下げられるでしょう。
一方で仕掛けを自作する際には、デメリットもあります。
時間と手間がかかってしまう点が、最大の欠点です。
また乗合船で船釣りを楽しむ場合、使用する仕掛けについて、船長から指定されるケースも少なくありません。
自作の仕掛けにおいても例外ではありませんから、特に注意が必要です。
初心者にもおすすめの「船宿仕掛け」とは?
船釣り初心者にとって、仕掛けの詳細までしっかりと理解するのは難しいものです。
自分であれこれと工夫するのも船釣りの醍醐味と言えますが、慣れるまでは「船宿仕掛け」を活用すると良いでしょう。
船宿仕掛けとは、遊漁船を運行する船宿がオリジナルで作っている仕掛けのこと。
毎日船を出し、その地域の魚について知り尽くしている船宿が、その特徴に沿った仕掛けを用意しています。
船長が指定する釣り方や操船法などに適した仕掛けなので、初心者にとっても釣りやすいという特徴があります。
事前に自分で用意しなくても、船宿で購入できますから、手軽さも魅力の一つと言えるでしょう。
もちろん、すべての船宿がオリジナルの仕掛けを作成しているわけではありません。
船宿の中には、市販の仕掛けをおすすめしているところもあるでしょう。
ただしこの場合も、船長はさまざまな仕掛けの中から、あえてその市販品を選んでいるはずです。
やはり、その地域の魚や指定の釣り方、船長ならではの操船法に合った仕掛けがおすすめされていますから、ぜひ注目してみてください。
使いこなしていくうちに、それぞれの仕掛けの違いについても、なんとなく理解していけるでしょう。
船釣りの「仕掛け」についても少しずつ理解を深めてみよう
船釣りで使われる「仕掛け」は、より多くの釣果を得るため、また釣りの魅力をさらに楽しむために必要不可欠なアイテムです。
釣りとは、非常に奥深いもの。
仕掛けの種類にまで注目し、それぞれの特徴や違いについて理解できるようになれば、その一端を感じられるのではないでしょうか。
今回紹介した情報は、船釣りで使われる仕掛けの一部に過ぎません。
また現物を見ないと、なかなかイメージが膨らまない部分もあるでしょう。
ぜひ実際に船釣りに出かけ、仕掛けについても生きた知識を学んでみてください。
ターゲットと仕掛けの関連性について、自然に頭に入っていくのではないでしょうか。